正午の茶事
折敷 一文字と汁
汁・・赤みそ れんこん団子
椀盛・・秋なすの吹寄せあんかけ
焼物・・小あじのみぞれ煮
預鉢・・うざく(きゅうりとうなぎの酢の物)
八寸
千鳥の盃
和菓子・・月餅
後座
干菓子
9月24日のお昼より
よし庵にて正午の茶事が催されました。
コロナの収束に伴い、お茶事の作法が法定通りに戻りました。
生徒さま達には袖落としをご用意いただき、左の振りに入れ、右の振りにはポケットティッシュをご持参いただきました。
『皆さま本日はどうぞよろしくお願いいたします』
『お…お願いいたします…』
だいぶ緊張のご様子。
大丈夫です!私も宗嘉先生も常にどちらかが側におりますから!
ですがその緊張も、お料理が進むと自然にほどけてきました。宗嘉先生のお料理の優しいお味が、皆さまの心に届いたのかも知れません。茶懐石料理では確かに作法は少し複雑なのだけれど、これも『慣れ』が大事なようです。
茶道のお稽古と同じなのですね。
茶懐石料理では、ご飯から頂きます。
料亭などの懐石料理ではお汁から頂き、箸先を汁で湿らせてからご飯を頂くのに、何故なのだろうといつも思っていました。
茶懐石料理の席では、ご飯の炊き方に工夫があり、飯器の持ち出し毎にご飯の炊き具合が異なるので、その時間の経過を敏感に味わうためだと聞いたことがあります。
ご飯はほのかな甘味を持っています。
最初のご飯は水分が多め。
ややべちゃっとした感触。
でもその柔らかいお米の粒々が、私たちの身体に穏やかに語りかけているのかも知れません。
『さぁ、これからご飯ですよ…』
その声は囁きに似た微かなものなので、もしもお汁から味わってしまうと、出汁の旨味で聞こえなくなってしまうのかもしれません。
美味しいものを食べると、嬉しい。 だけど欲に駆られて食べてしまうと、ある時点から美味しく感じられなくなってしまいます。
それはあまりにも寂しい。
食材にも亭主にも感謝ができなくなってしまう。
だからちょうど良い量を身体が欲しがるように、舌とか食道とか内臓とかに、ちょうど良い強さの刺激を与えて、ちょうど良い量の消化液を分泌できるように計算されているのかも知れない。
そんなことを思いながら、皆さまにお作法をお伝えしておりました。
その後、初炭、縁高によるお菓子の持ち出し、腰掛け待合に移動して小休憩、濃茶、後炭、薄茶とお席が進みました。
お正客さまは、見事に問答を覚えておられ、つつがなくお茶事が運びました。
お次客さまは、ご入会して半年の生徒さま。
今回が着物デビューの日だそうです!
着付けの腕も、茶道の腕と同じく、確かなものをお持ちで頼もしく感じました。
三客さまは薄茶のご担当をいただきました。
その話は後ほど…。
お詰さまにはベテランの生徒さまにお願いしました。
お皿の拝見や腰掛け待合での作法など、ところどころで助けていただきました。
それからモデル兼カメラマンの太田真弓さま。
陰日向なく活躍していただき本当にありがたかったです。
さて、薄茶のお席をご担当いただいた生徒さまにつきまして。
皆さまから『完璧でしたね』と称賛のお声が掛かりました。
宗嘉先生も『上手になりましたね』とお声を掛けておられました。
工藤は水屋でのお仕事があり、お茶室に近寄ったり離れたりで、様子を全て伺うことはできなかったのですが、お茶室から流れてくる充実した空気を感じていました。